終わらない不幸についての話(緒川千世)
「もう許してくれよ」
「俺が同じところに 行くまで」
「それがちゃんと 伝わるよう 恋人は そばにいるんだろ」
◆攻め:清竹 誠司(同じ大学の3年生)
◆受け:烏童 隆之(同じ大学の3年生)
◆エッチ:あり
◆属性など:意地っ張り受け
◆評価:★★★★★
【あらすじ】
彼の好みは、小さくて可愛らしい女の子。彼より長身で男の自分は、何もかもが理想にはほど遠い――絶望的な恋だった。
中学の頃に密かに好きだった清竹と、予期せず合コンで再会した烏童。昔と変わらず清竹はまっすぐで、すっかり遊び人になった自分はやっぱり彼に相応しくない。けれど燻る想いに突き動かされ、烏童は清竹と強引に身体を重ね…。苦い片恋の行く先は――。
【同時収録作品】
・誤算のハート
・これからの幸せについての話(描き下ろし)
・「誤算のハート」ドラマCD収録レポ
【感想】
タイトルからして悲恋モノか~?と思い、あらすじ読んでも「絶望的な恋」「苦い片恋」ってあるし、最初は見送っていたものの、『誤算のハート』の烏童兄の話と知って即購入。『誤算のハート』の短編も収録されてるしね。
気になっていたのよねー。烏童兄のあの言葉。
「・・・いいなァ 俺もあんな風に 愛されたいなァ」
中学の時に同じバスケ部にいた清武と烏童兄・隆之。
清武よりも20cm背の高い隆之。ふたりを隔てる20cm。
隆之は清武を想うがあまり、清武の彼女を奪います。遊び人隆之の出来上がり。
そこから疎遠になるふたり。8年たった今も隆之は恋心を拗らせています。
再会したふたり。あの頃と違って隆之と同じくらいの身長の清武。
合コンで酔っ払った清武を車で送る隆之だけど、ほぼ意識のない清武相手に車中でエッチをしちゃいます。涙を流しながらのエッチ。せつないです。
清武のバスケの試合を眺めながら涙が零れ落ちる隆之。まさに「零れ落ちる」っていう表現の絵が素晴らしいです。
試合後、身長を測ることになる清武と隆之。
隆之の身長を超える清武。二人を隔てていた身長差がなくなったことで、想いが溢れキスする隆之。
静かに涙を流しながら、8年分の想いを告げる隆之。この時の隆之の表情が秀逸です!
そして、泣き崩れる隆之、、、
「自分では 終わらせられなかった この恋を お前が終わらせてくれ」
ところが、ただただひたすらに前向きに、歩み寄ってくる清武。
逆にそれを拒む隆之。拗らせてます。
真っ直ぐに向かってくる清武に、追い込まれる隆之。
清武「今日こそ ケリつけるぞ」
隆之「・・・いや いやです」
体育座りをして拒む隆之、可愛すぎます。
「俺が同じところに 行くまで もう少し待っててくれよ」
信じられない隆之に、清武は続けます。
「それがちゃんと 伝わるよう 恋人は そばにいるんだろ」
いい言葉ですねー。
そこから両想いエッチになだれ込むのですが、清武が男の隆之に反応してくれていることに喜ぶ隆之があまりに健気です。
痛がる隆之のリアクションが、これまた可愛いです。そりゃ清武だって「かわいい」連呼しますわ( *´艸`*)
その後のモノローグがいいんですよねー。
ここに、タイトルのすべてが詰まっています。
そういう意味での「終わらない不幸」。
だったら終わらなくていい!素晴らしいタイトル、ネーミングセンスです。
同時収録の『誤算のハート』はほか表題作品にもなっている、烏童弟・隆太と三城のお話。
進路を考えなければならない高校3年生のふたり。
隆之編と一部リンクしていて、この時こんなことがこちらサイドでは起こってたのねーって感じで読めます。
策士三城母登場で、波乱が巻き起こります(笑)
描き下ろしはその後の清武と隆之。
「好きになって 良かった」「好きでいて 良かった」
幸せそうな隆之の笑顔に、8年分のせつなさが昇華されるような思いになります。
はぁ~良かったねー♪
参考になりましたでしょうか?