はやとのBL読書感想日記

「はやと」と申します。読んだBL作品について、気ままに感想を書いていきます。皆様の参考になればいいなぁ。

世界は君で廻ってる(緒川千世)

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「他の人から 愛されなかった 分も 君が 愛さなかった 分も 俺が全部 愛してあげる」

「オレの思いに なんの価値がある?」

 

◆攻め:深町(同じクラスのイケメン高校生)
◆受け:牧総一(同じクラスのコンプレックスのある高校生)
◆エッチ:あり
◆属性など:ツンデレ受け
◆評価:★★★★

 

【あらすじ】

「牧くんてさあ、すげーかわいいよね」まごうことなき地味顔の俺に、イケメンのクラスメイト・深町はのたまった。以来、キスしてきたり肌に触れてきたり、深町は俺につきまとう。逃げても泣いても執拗に追われ、ついには淫らな行為まで───。

美形コンプレックスの平凡男子がイケメンに振り回される表題作ほか、幻の商業未発表作をあつめた短編集。 


【同時収録作品】

・世界は君の腕の中(描き下ろし)

・エセ床屋漫画

・おろかしくも うつくしく

・ヤスイ タマシイ

アカルイミライ(描き下ろし)

・極上デザート

 

【感想】

緒川千世先生の同人誌作品をコミックスにまとめた今作。

作品発表順に並べると、以下の通り。

・エセ床屋漫画(2006年10月)

・世界は君で廻ってる(2007年9月)

・おろかしくも うつくしく(2008年3月)

・ヤスイ タマシイ(2008年10月)

・極上デザート(2009年3月)

・世界は君の腕の中(描き下ろし/2013年5月)

アカルイミライ(描き下ろし/2013年5月)

 

あとがきにてそれぞれの説明が書かれてあるのですが、『エセ床屋漫画』は緒川先生初BL作品だそうです。 

緒川先生、昔からすでに絵が出来上がっていたんですね。読んでいて何の違和感も感じないです。すごい!

絵もきれいで、コマ割りも読みやすいまま。

表題作『世界は君で廻ってる』では大幅に描き直しを入れているそうですが、とはいってもセリフや絵柄、コマ割りは極力残しているそうなので、表題作と描き下ろしが並んでいて、それを読み進めていくわけですが、いい意味で6年の時間を感じさせないのは、やっぱりすごいです。

 

 

『世界は君で廻ってる』『世界は君の腕の中』

あらすじの通り。イケメン深町は二重で、地味顔牧は一重に描かれています。

描き分けしてる!と思って、『誤算のハート』を見返してみたら、ふたりとも二重。ちゃんと描き分けしてる作家さん、好きです。読んでる方は普段は気付かないものなんですけどねー。

 

牧のお兄さんが出てこないんだけど美形だそうで、それで強いコンプレックスを感じている牧。

「他の人から 愛されなかった 分も」「君が 愛さなかった 分も」「俺が全部 愛してあげる」

深町の言葉が胸に響きます。

 

なんだかんだ絆されていく牧。

描き下ろしでは、ツンデレ牧のほんのりデレが描かれています^^

 

 

『エセ床屋漫画』

化学実験室を利用して、簡易理容室を開いている床屋の息子・悠士。料金は100円とか。

寝癖がひどくてそこに通っている忠近。最初は100円支払っていたのが、最近の料金の請求はキス1つ。いつしか自分から料金を支払うようになる忠近。

 

次第に化学実験室に行くのが後ろめたく感じてくる忠近。

「未だ友達という 白々しい関係を 続けているから」

悠士「ここまで やっといて これ以上の 言葉なんている?」

「そうか おまえは このぬるま湯を 許さないんだな」

覚悟を決めた忠近。行動が男前です。

 

いやー、セクシーです。緒川先生すごいなー。

 


『おろかしくも うつくしく』

なんだろー、受け様のまつげばさばさ。イケメン設定だから?でも今までのイケメンはそんなことなかったけど?この時の緒川先生の中でのブームだったのかしら? 

と思っていたら、あとがきにて緒川先生ご本人もそうおっしゃっていました(笑)

 

亮平のことが大好きな晴海は、ことあるごとにお礼だ何だと冗談めかしてキスします。体育用具室でのキスはドキドキしますねー。

晴海の取柄は外見だけ。そんな晴海とつるんでいるのが亮平の汚点と言われる始末。

 

そんな亮平は女の子にも人気で、告白シーンに割って入って邪魔する晴海。晴海を殴って叱責する亮平。

そして、、、

 

ふたりの関係性がなんだかいいですね。言葉にはしないけど、みたいな。最初から付き合ってたんじゃないの?みたいな。

トイレシーンの亮平がなんだかいいです。

で、ここで終わりかと思ったらまだ続きが少しあって、ふたりのその後、亮平のターンが数ページ。

このふたりの物語をもっと読みたいなー。

 


『ヤスイ タマシイ』『アカルイミライ

「100円あげるから オレと寝てくれません?」

頼めば誰とでも寝ると噂の里見に、そう話しかけてきた後輩・森。

でも寝てみたらわかる、里見が慣れてないって。

森「なんで軽々しく OKしたんですか」

里見「簡単な理由だよ」ーーー好きだから。

 

それから18枚たまった100円玉。

その1800円で森を買う里見。それをくりかえすふたりーーー。

 

描き下ろしにはその後のふたりが描かれています。

この話も好きだなー。描き下ろしとセットでね。

軽薄そうな関係に見えるふたりだけど、しっかりと愛が育まれています。

 


『極上デザート』

甘いお菓子大好きな夏目。その夏目と人気を二分する加地。

女の子からの甘いお菓子を一緒に食べるうちにキスする関係に(なぜ笑) まぁ、ここはねBLだから、、、^^;

売り言葉に買い言葉で「きらい」と言い合うふたり。

そして、、、

所謂ケンカップルってやつですね。

 

それぞれ描き直しを大幅に加えているそうですが、その前のものも見てみたくなりますね。

読み応えある1冊だと思います。

 

参考になりましたでしょうか?