ひだまりが聴こえる-幸福論-(文乃ゆき)
「私が 平気か どうかを なんで お前が 決めるんだ・・・!」
「なんであの時 気づかなかったんだよ」
◆攻め:攻受不明/杉原航平(難聴の同じ大学の2年生)
◆受け:攻受不明/佐川太一(明るい性格の同じ大学の2年生)
◆エッチ:なし
◆属性など:おバカ受け
◆評価:★★★★
【あらすじ】
難聴のせいで周囲と距離を置くようになってしまった大学生の航平は、バカみたいに明るい性格の同級生・太一と出会い、少しずつ前向きに変わっていく。そして、いつしか太一に友達以上の感情を抱くようになった航平は、その想いを伝え――。
大反響を呼んだデビュー作が続編となって登場!友達以上恋人未満だった二人に進展が……?
【同時収録作品】
・その予感(描き下ろし)
【感想】
『ひだまりが聴こえる』の続編。ふたりとも2年生になって、新入生で難聴のマヤ(♀)も登場して、環境に変化が出てきます。
冒頭からこのマヤが航平に想いを寄せていることはバレバレで、私の心中穏やかではありません(笑) 絶対面倒なことになるよー、フラグだよー(´口`)と思ってたらすぐにふたりの邪魔をしだすマヤ。もぉぉぉヾ(*`Д´*)ノ"
でも何だかBLっぽい始まり方です(笑) 期待が高まります。
どうやらケンカしているふたり。その原因は、酔っ払った太一を航平が自分の家まで運ぶんだけど、無防備な太一が航平とキスするのはイヤじゃないとか言っちゃうわりに、いたたまれなくなった太一が航平宅を飛び出すという、、、
太一、もだもだしています。
そんな拗れた中、料理を持って太一宅を訪れる航平。互いの想いを伝えあって仲直りするふたり。想いって言ってもねー、航平はねー、ちゃんと好きな気持ちを表現してるんだけど、ヘタレ太一がなかなかねー。
社労士の資格を取ろうとしている航平を見て焦る太一。自分は、、、?
時同じくして、航平の太一への想いに気付くマヤ。
手話を扱うビジネス会社を経営しているマヤの叔父さんと出逢う太一。熱い思いを語った太一はその会社に誘われます。大学を辞めて働くことを考える太一。
邪魔ばかりして私のイライラの元のマヤだけど、そんなマヤにもツライことはあります。
全く聞こえないんじゃないなら「全然平気じゃーん」という周りの人達。
「私が 平気か どうかを なんで お前が 決めるんだ・・・!」
確かに、「全く聞こえないわけではない=聞こえてる」と両極端に考えられがちなのかも。だからこそ助けの手が差し伸べられず、大変さが理解されにくいのかも。ただ生きていきやすいように自分が耐えて努力をしているだけで、大変じゃないわけではない、平気なわけではない。でもその努力が伝わりにくくて勝手に「平気」と思われてしまう。そういった人達が、難聴の方だけでなく、いじめにあっている人達とか、まわりにはたくさんいるんだろうと考えさせられました。
そんな実は傷付いているマヤにも素敵な言葉を投げかける太一。
「お前は もう充分 頑張ってる じゃねーか」
大学を辞めることを航平に伝える太一。抱きしめる航平。離れた橋の上、手話で想いを伝える航平。この時の航平の表情が何とも言えない表情で。。。
その意味に気付かない太一。もぉぉぉヾ(*`Д´*)ノ"
そして半年。
、、、半年ですよ!半年!太一は会社で働いてて、その間1度も航平と逢ってもいなければ連絡も取っていません。なんだとーーーヾ(*`Д´*)ノ"
そんな時、友人からの電話で航平に彼女が出来たと! ショックを受ける太一。この時ボクシング中継が流れてるんだけど、心理描写が上手いですねー。
図らずも再会するふたり。雪の降る雑踏の中で、過去のやり取りと、あの航平の手話の意味を理解した時のことがフラシュバックで流れます。このフラッシュバックのシーンがすごくいいです。泣けてきます。゜゜(´□`。)°゜。
逃げ出す太一。
「なんであの時 気づかなかったんだよ」
「せっかく おんなじ だったのに・・・っ」
そこに追いかけてきた航平が現れて、、、
描き下ろしは、次回作の「予感」てことでしょうか。描き下ろしと言っても、だいぶボリューミーです。
太一の会社の企画で、太一たちと一緒にキャンプに来た航平。次作は太一の先輩・千葉が当て馬的な意味でキーマンになりそうな予感。すれ違いはもうヤダなー(>_<)
ここでね、結構な火傷を太一がするのだけど、航平は気付けず、千葉が太一を介抱するのよねー。気付けなかった自分、介抱できなかった自分に落ち込む航平。
キスして終わるけど、不穏な空気満載で、ラブラブな気持ちで終われませんでした。。。
参考になりましたでしょうか?