O.B.1(中村明日美子)
「肌色という肌色 吐きだす呼気さえも 淡くピンクに 染まっているような」
「お母さんの 作った・・・なんていうか 心のこもった もので 佐野君は 大きくなったんだね」
◆攻め:草壁光(ミュージシャン)/竜一/攻受不明・佐野響
◆受け:佐条利人(京都の大学1年生)/小松/攻受不明・有坂悟志
◆エッチ:あり
◆属性など:<小松と竜一>で女性とのエッチあり
◆評価:★★★★★
【あらすじ】
『同級生』『卒業生』の草壁と佐条、『空と原』のハラセンとソラノ、その他、 コマっちゃんや有坂&響など、〈同級生シリーズ〉を彩る魅力的なキャラたちの“その後”を描いた待望の続編『O.B.』が、2冊同時発売で堂々の完結!!
【同時収録作品】
・ガールズトーク(描き下ろし)
【感想】
『同級生』シリーズの完結編です。今まで登場したキャラの総まとめみたいな、そんな1冊、というか2冊。
表紙がいいですね!それぞれ世代の違うキャラたちが同じクラスに集まってる、夢のような世界。そこからしてこの完結編に込められた想いというか、意気込みが感じられます。
そして、各話の並び、構成がいいですね。各話の間にメインキャラである草壁と佐条の物語を挟んで、キャラごとの過ごしている時間軸が少しズレてる部分を補いつつ、『同級生』から始まった世界観をつないでいます。
だからこそ、「お?」という内容が入り込んでも強い違和感は感じずに済んでいるのでしょう。そして、あの『卒業生ー春ー』と同じような読後感が味わえるのだと思います。
「#1<草壁と佐条>」
遠距離恋愛中のふたり。草壁が佐条と過ごすため京都にやってきますが、、、
1日目。大学の発表準備に追われる佐条の横で、寄り添うように大人しく待っている草壁。特に何をするでもなく、特に何を話すでもなく、こたつで一緒に時間を過ごすだけのふたり。
でもね、この空気感がいいんですよ。高校生の時には無かったものというか、ふたりとも大人になったな、というか絆が感じられます。
ひたすらPCに向かう佐条と、そんな佐条の邪魔にならないよう気遣う草壁。ふたりともようやく逢えて感情を爆発させたいであろうに、その場の感情に流されず、佐条は本分を全うしようとするし、草壁はそれを尊重する。そんなふたりの真面目な姿からふたりの真摯な想いが分かるし、互いを理解している絆が感じられます。
だってね、ここで流されるようだったら、そもそも何のために草壁と離れてまで京都の大学に進学したんだって話ですからね。
1つ1つのセリフや動作、目線とかにも互いの愛情が感じられます。なんていうか全てのコマから愛情がダダもれてるんですよねー。滲むじゃなくダダもれ。分かりやすいチューとかハグじゃないのだけども、ずーーーっと愛情がダダもれてるの。あー、読んで欲しい(笑)
夜中、ひとりでPCに向かう佐条。2階にいる草壁を想ってもうひと頑張り!な描写から、この夜だけでなく、常にそんな感じで遠く離れた草壁を想って頑張ってるんだろうなー、と想像できます。
そして明け方、草壁が目を覚ますと同じ布団の中に潜り込んで寝ている佐条が。
この時、抱き着く佐条と、「おつかれ おつかれ」と佐条の頭をわしゃわしゃする草壁が愛おしいですね。
足を絡めながら「発表・・・午後の講義なんだ」と暗に誘う佐条。
この『O.B.』ではふたりが足を絡めているコマが多用されていますが、足で物語るって好きです。足を絡めるのって、ラブラブじゃない限りしないと思うので萌えます^^
「#2<佐条と城ノ崎>」
この城ノ崎は佐条の大学の友人(♂)で、入試の時の佐条のキスマークに気付いていて、そのことから親しくなっていくのだけど、ここにもまた佐条の色気にやられてしまった男が一人、、、というお話(笑) ちなみに佐条は女の子にもモテモテです。
でもご安心ください。佐条は草壁のことを城ノ崎にも、告白してきた女の子にもしっかりカムアウトしております。こういったところも高校生時代とは違うところですね。あの頃は「普通」であることを気にしていましたからね。
ラスト、城ノ崎が見た「草壁といる佐条」の表現がとても好きです。
「首筋どころか 肌色という肌色 吐きだす呼気さえも 淡くピンクに 染まっているような」
原先生から見た佐条もこんな風に見えていたんだろうなー^^
にしても、佐条は高校生の頃から無防備すぎるよなー。草壁も苦労するなー(笑)
「#2.5<草壁と佐条>」
そして、2日目の朝。「発表・・・午後の講義なんだ」の後のふたり。佐条が大学に行くのを草壁が見送るまでのお話。も~~~ラブラブです♡
見送るときにチューをせがむ草壁ですが、それに対し「お前は いちいち 長くなるから」と照れる佐条。いちいち長く、、、ウケる^^ そしてそれに対する草壁の「いけずやわーーー」(笑)
「#3<小松と竜一>」
冒頭、「え?ホラー!?事件!?サスペンス!?これだけ別の話!?」と私をパニックにさせるほどのコマツの目の表情、モノローグから始まります。
あのコマっちゃんにこんな過去がねー、と思うと同時に、こんなフューチャーされるほど影なる人気があったのかしら?と思いました^^;
なかなかな過去を持つコマっちゃん。竜一がクズすぎて、女性とのエッチもありで地雷な人が多いかもしれません。
「#3番外編<ガールズトーク>」
上記で登場した女性とコマっちゃんが竜一についてガールズトークしているお話。
ちなみに、表紙右真ん中にいるのがコマっちゃん。可愛い^^
「#3.5<草壁と佐条>」
2日目夕方頃かな、発表を終えて大学から帰ってきた佐条を、ポテトグラタンを作って迎える草壁。
「あーん」し合うふたり。これも高校生時代には難しかっただろうなーと。
そのままこたつでまったりするふたり。このシーンもいいんだよなー♪
買い物に出ようという草壁に「もう 出たくない なあ・・・」と頬を赤らめながらズルズルこたつに潜り込む佐条。そして足を絡め合うふたり。。。
もーーー佐条の誘い方が可愛いすぎ( *´艸`*)
ちなみに、このポテトグラタンの作り方が記載されているので、ふたりが食べた同じ味をみなさんも食べられます(笑)
「#4前編<有坂と響>」
『O.B.2』へと前編後編で続く、『空と原』で登場した教師と元教え子カップルのお話。
このふたりは『空と原』でもそうでしたが、前途多難というか、草壁と佐条と違って常に影を伴う印象が私の中でありますが、今回もなんだか大変そう(´д`)
とりあえず順調なお付き合いをしているようなふたり。互いに名前呼びで、響の作ったプリンを有坂の家で食べてまったり過ごすのも日常になっている様子。
でも清い交際のまま、お泊りもエッチもなし、12時前には帰される響。
そんな中で有坂の娘が結婚するので有坂に会いたいという連絡が元奥様から入ります。
それをしっかり受け止める響。ふたりでその日の服を買いに行ったり、心強い言葉を送ったりして、やや狼狽える有坂を応援します。有坂も感じてるけど、しっかりしたいい大人に成長していますね。
この回では、上記ふたりの現在と過去が交互に織り交ぜて話が進んでいきますが、ふたりは響が高校3年生の時、有坂が進路指導担当ということで出逢います。
調理師専門学校の製菓を目指すという響。響が焼いたクッキーを食べる有坂。
「お母さんの 作った・・・なんていうか 心のこもった もので 佐野君は 大きくなったんだね」
有坂のこのセリフは普通にグッときますが、彼にとっては離れて暮らす娘のことも思い出しての一言ですね。徐々に心が動き出す響。。。
有坂が娘と会う当日。有坂を送り出す響。すれ違う娘。
というところで次巻へ!
参考になりましたでしょうか?