ひだまりが聴こえる(文乃ゆき)
「違うだろ 聴こえない からって 何言っても いい訳ねーだろ」
◆攻め:攻受不明/杉原航平(難聴の同じ大学の1年生)
◆受け:攻受不明/佐川太一(明るい性格の同じ大学の1年生)
◆エッチ:なし
◆属性など:おバカ受け、ワンコ受け
◆評価:★★★★
【あらすじ】
難聴のせいで何かと誤解を受け周囲とうまく馴染めない大学生の航平は、いつしか人と距離を置くようになっていた。そんな時に出会った同級生の太一。明るい性格で思ったことを何でも口にする彼から「聴こえないのはお前のせいじゃないだろ!」と言われ、航平はその言葉に心の底から救われて……。
友達以上、恋人未満。太一との出会いが航平を変えていく。
【同時収録作品】
・今はまだ道の途中(描き下ろし)
【感想】
映画化もされた大人気作品。なんと!これが文乃ゆき先生の初コミックスだそうで、すごいですね、初コミックスでこれだけの人気とは(*゚o゚*)
最初はちょっと社会派というか、考えさせられる内容かな、と思って敬遠していたのですが、あまりに口コミの評価が高いので購入することに。
文乃先生があとがきで書かれていますが、担当さんに「ボーイズをラブさせて」と言われた通り、なかなかカップルにはなりません(笑)
はやくラブラブなふたりを見たいですが、たぶん内容的にラブラブなふたりは完結最終話でしか見られないのでは、と思っています^^;
物語の最初は粗暴な男の子という印象の太一。そんな太一と航平が出逢うシーンはもう嵐のようで「まず名前 教えて くれない・・・?」という航平の気持ちが分かります^^;
難聴の航平の代わりにノートテイクをする太一。そのお礼は航平が持って来るお弁当。ここからふたりの関係は始まります。
手話を押し付けてきたり、心無い発言をする先輩たち。それに怒りを露わにする太一。
航平「俺はどうせ 聴こえないから」
太一「違うだろ 聴こえない からって 何言っても いい訳ねーだろ」 「聴こえないのは お前のせいじゃ ないだろ!」
文乃先生の身近な方に難聴の方がいらっしゃるんですかねー。なぜBLでこのような難しい題材を選んだのか。でもBLだからこそエッセンス程度に抑えたうえで分かりやすく、難聴の方々の抱えているであろう思いや、私たちの間違った考えを指摘してくれているように思います。あくまでも主軸はBLに置いているからこそ、小難しくなく、すんなり情報が入ってきます。
中三の冬、受験の後、突発性難聴になり、そのまま聴力が落ちてしまった航平。後発性のものだったんですね。なんとなく発せられる「障害」「かわいそう」「そーゆー人達」という言葉に敏感に反応し、自分がどういう存在なのかわからなくなる航平。自分の外見に寄ってくる女性たち。
あっち側と、こっち側。日に日にまわりと距離を取っていきます。
といった過去を知った状態で太一を見ると、あまりに普通というかあっけらかんとしているので、航平が心休まる気持ちが分かります。
難聴者とノートテイカーとしてではなく、友人として仲良くなっていくふたり。
航平の持って来るお弁当を見て、「(ハンバーグは)結婚したいくらい好き」と言う太一、この表現斬新(笑)
ハンバーグにはおじいちゃんとの思い出が詰まっています。この話もまた良くてねー。
太一は草野球にも航平を誘います。そして打たせます。あくまでも普通に接する太一がいいですね^^
そんな太一も過去があって、中一の頃両親が離婚後それぞれ再婚したことから、おじいちゃんと二人暮らしをしており、金銭的負担をさせないようにバイト残に励み、節約生活をしています。
そこで知り合った女の子・美穂に航平を紹介してほしいと言われる太一。でも美穂は航平が難聴だと知ると、そんな航平と手話で話したりなんて「私も物語の 主人公に なったみたーい」とテンション上げ上げに喜びます。キレる太一。そりゃそうだ(`^´)
夏休み、聴力がさらに落ちてきた航平。しばらく逢っていないふたりは、お祭りに行く約束をしますが雨でお祭りは中止に。でもその時太一に逢えた航平は美穂について問いただします。「どんな話をしたか」「どう思ってるのか」。事情を知らないから勘繰る航平。自分の気持ちに気付きます。
ノートテイクも断って、距離を取る航平。太一は航平の家に押し掛けます。そこで料理教室をしている航平母の遭遇します。航平の聴力が更に落ちてきていることを知った太一。それと同時に、実はお弁当のハンバーグは航平の手作りだったことを知った太一。
期せずして互いの想いをぶつけあうふたり。太一は友人として自分の考えを伝えます。そこで太一にキスする航平。
「今まで ほんとに ありがと」
このままふたりは離れてしまうのか、、、?
太一は真っ直ぐないい子ですねー。だからこそ、衝突が絶えないんですねー^^; 単なる粗暴な子ではありませんでした(笑)
描き下ろしは、その後のふたりが少しだけ描かれています。本編では判断が難しかったのですが、ここでは太一は自分の気持ちを認識しています。
とても素敵な作品なのですが、やっぱりあまあまラブラブが足りなかったので★は4つ。
参考になりましたでしょうか?