はやとのBL読書感想日記

「はやと」と申します。読んだBL作品について、気ままに感想を書いていきます。皆様の参考になればいいなぁ。

不機嫌彼氏のなだめ方【電子限定おまけ付き】(左京亜也)

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「どうして私は 許され なかった?」
「どうして 圭市たちのように なれなかったのか」


◆攻め:高見沢英(33歳/10歳の頃からの幼馴染みでユージンの側近、イエネコの血を引く)
◆受け:賀神ユージン(33歳/賀神圭市の兄で、猫科人間・ヒョウ)
◆エッチ:あり
◆属性など:ケモ耳、すれ違い、意地っ張り受け
◆評価:★★★★★

 

【あらすじ】

大人気『クロネコ彼氏』シリーズの賀神の兄・ユージンが、時間をかけてこじらせた、大人の恋の物語!

イギリスの名家に育ったユージンは、豹になる猫科の血を引いている。ユージンは一度だけ、幼なじみの高見沢とセックスしたことがあるが、その後何も無かったかのように結婚し、一人息子のリオを授かった。後に妻とは離婚し、表向きは平穏な日々を過ごしていたが、ある日、高見沢が見合いすると言い出し……。

たっぷり32ページの描き下ろし後日談収録!さらに、雑誌掲載時の二度の巻頭カラーも、フルカラーのまま収録した完全版です!!


【同時収録作品】
・不機嫌彼氏のねだり方(描き下ろし)
・不機嫌乳首のなおし方(電子限定描き下ろし)

 

【感想】

こちらのシリーズも、肌色全開カラーのエッチシーンで始まります(笑)

でもそれは、たった1度きりのせつない想い出。

 

物語の時期としては、『クロネコ彼氏の愛し方』の頃。

新キャラ、高見沢の従妹でユージンの部下のサラ登場。

10歳、高見沢と出逢った頃を懐かしむユージン。

上手くヒョウに変身出来ないことにコンプレックスを感じているユージンを、

キレイだと褒める高見沢。

ユージンの恋心が芽生えた瞬間。

 

そんなユージンは、ヒョウの血筋を守るため女性と結婚するんだけど、

そりゃ上手くいくわけなくて、リオ誕生の後に離婚しています。

その全てを隣りで見守ってきた高見沢。

まゆひとつ動かさない高見沢。

その表情に、傷付くユージン。

そして、そのことに気付いている高見沢。。。

 

だからこそ、圭市と真悟の件を機に、高見沢は動き出します。

「(ふたりに別れを)強制すれば 更に大きな傷を 負いますよ」

「傷を負うのは ジーン きみだと 言ってるんだ」

血筋からの解放ですね。

 

動き出した高見沢、止まりません。

さらには自分の結婚をにおわせます。

ここから暗転するページに、ユージンの絶望的な想いが表されています。

「恋を代償に 手に入れたのに 俺が間違って いるのか」

「なにも 間違ってない」

 

そして来日。

真悟との初対面シーンに移ります。

「インスタントコーヒーを 出すくらいには 気の利かない」と、真悟のことを表現しますが、この表現好き。

イギリスだもんね、ティーだよね^^;

ここからしばらくは、『クロネコ彼氏の愛し方』のユージンサイドの話が見られます。

これが面白い♪

 

圭市「ヒョウの血なんかに こだわって そんなものを 守ってなんになるっ ていうんだ」

 

自分が守ってきたものは、ヒョウよりも下等と考える、イエネコである真悟よりも価値がないのか。

自分でもわかっていたはず。

血筋に縛られて考えないようにしていたこと。

それでも、「もう今さら 戻れない」

 

真悟との対決シーン。

「どうして私は 許され なかった?」

「どうして 圭市たちのように なれなかったのか」

この時、ユージンはこんなことを考えていたんですね。

それまでのユージンの苦しさが、モノローグの中で溢れ出してきます。

 

そこに高見沢登場!

ここからの高見沢の追い込みがすごいです(笑)

「もうあなたの 命令は聞かない」

「もう つき合い切れない」

「もう与えられるのを 待つのはやめた」

と、ユージンを抱く高見沢。

 

ドSスイッチ、オーン!!!

「淫乱」と言われた時のユージンの表情が何とも可哀想(>_<)

ごくごく小さく、とぎれとぎれに、「(い)んらんじゃ ない」って。

そのユージンに対して「わかって ますよ? あなたのことは なんでも」

 

でもそんなドSな高見沢の目を見て、ようやく悟ります。

「そんな目を させたのは 俺か」

「そうか 間違っていたのか」

のに、拗らせすぎたユージンは

「もう そばに いなくてもいい」

「解放してやる」

なんていう始末。

 

高見沢「本当にバカだな ジーンは」

本当だよ!

 

物語は、『愛し方』のラストにリンクするんだけど、

あの時のあれがこれなのねって、分かるとニマニマしちゃいます^^

でもあの裏で、まだこんなドラマチックな続きがあったなんて!という驚き。

こちらの物語はまだ終わらない、ここから佳境に入ります。

高見沢から紡ぎ出される言葉には、年月の分重みがあります。

その中でも、高見沢の言う「仕事」。

それまでの切なくて苦しい想いを想像すると、一番重みのある言葉です。

 

コンプレックスである、上手く出来ない変身姿になるユージン。

そんなユージンを、変わらずにキレイと言う高見沢。

繰り返し出てくるユージンのモノローグ。

「愛されてるのは 知ってた」

 

そしてたどり着く答え。

「誰に 許されなくても もうかまわない」

 

 

描き下ろしの『ねだり方』は、けっこうなボリュームで読み応えばっちり。

雑誌掲載していないのが不思議なくらい。

乳首ネタが盛り込まれているので、シリアスになり切れませんが、そこはかとなく切な甘いストーリーです。

高見沢の「吸うと どこから なにが出るのか 言ってください」「対処しますんで」

ホント甘くなりきれない感じがふたりらしくていい(笑)

 

参考になりましたでしょうか?