にいちゃん(はらだ)
「これでも ボクのが異常なんですか?」
◆攻め:景・にいちゃん(近所のお兄さん)
◆受け:ゆい(小学生→高校生→大学生)
◆エッチ:あり
◆属性など:ヤンデレ、リバ、メリバ?
◆評価:★★★
【あらすじ】
幼い頃、近所のにいちゃんに手を出され、現場を母親に見られてしまったゆい。それを境に、いつも遊び相手になってくれていたにいちゃんは姿を消し、親からは過保護なまでの監視を受けるようになってしまった。あれから時が経ち、にいちゃんを忘れられないゆいは、ある日もあてもなく街を徘徊し、そして、ついに再会の日がくる――。しかし、久しぶりに会ったにいちゃんは、昔のような優しいにいちゃんではなくなっていて……。
ふつうってなに まともってなに これはいけないこと…?
BL界の鬼才・はらだが描く衝撃の禁断愛、ついに解禁――。
【同時収録作品】
・ゆい(描き下ろし)
【感想】
『やたもも』ではらだ先生の独特の世界に興味を持った私は、やっぱり仄暗い不幸臭はするけど意外と純愛ものじゃないかな?との期待を込めて、今作を購入。
やっぱりはらだ先生。一筋縄ではいきませんね。本編で終わっていればハッピーエンド~だったのに、描き下ろしがメリバとも受け取れるハッピーエンド。いや、、、まぁ、、、メリバ、かなぁ、、、んー。。。でも嫌いではないです、この感じ。
まぁあらすじからして仄暗いですよね。
物語最初から犯罪臭がプンプンしています^^; BLとはいえやっぱり強い拒絶感が出ます。読むのがキツイ。怖い。
ゆいが高校生になってからはBLとして割り切って読むことができます。
が、やはり暗い!仄暗いじゃなく暗い!
ゆいが自らその暗い世界に突き進んでるからなー、にいちゃんのこと好きなんだもんなー、いや呪縛っていうのかなー、ゆいが不幸にならなければいいなーと思いながら読み進めます。
クラスメイトの舞子と付き合ったりして、なんとか「普通」の世界に溶け込むゆい。両親を安心させます。
でも、舞子にOKの返事をする時のゆいの目に狂気を感じて怖すぎる^^; はらだ先生上手いなー。
一方、その「普通」の世界に溶け込むことのできないにいちゃん・景は、すっかり病んじゃっています。恐ろしいほどに。
その景に(と、ではなく)付き合ってるゆいの方が大人に見えてきます。
そしてそのふたりの歪んだ関係に気付く舞子。
というか、舞子は最初からゆいの「普通」じゃない空気感を感じ取っていました。
この舞子がすごくいいです!舞子がいるからこの作品は救われてると思う。
舞子にすべてを話すゆい。すべてを受け入れる舞子。そんな舞子にも仄暗い過去がありました。
景の写真を見た時の、舞子の光を失った目が印象的です。
舞子と景の過去が繋がった瞬間。物語は一気に動き出します。
過去との決別。儀式にも似たそれは、景に現実を突きつけたんだろうな。
過去に縛られていた景は、ゆいによって「普通」を求められる現実に引き戻されて、絶望したんだろうな。
ゆいの前から姿を消す景。
「これでも ボクのが異常なんですか?」
そして、大学生になったゆいの前に現れたのは、、、
描き下ろし『ゆい』は、その後のふたりと、その周りの世界について描かれています。
んー、考えさせられる作品ていうか、題材が難しいですねー。
「普通」とは?
たいていの場合、普通って良くないことのように表現されるけど、普通が悪いとは思わないです。面白くないだけで。
でも、その面白くない普通の中にも価値あるものがあると思うんですよね。気付かないだけで。
ただ、人と違うことが「異常」かというと、そうでもないというのが難しいところ。
が、それが「犯罪」となるとまた違ってくるんだよねー。
じゃぁそれを誰が判断するのかっていう、ね。
難しいねー。。。
参考になりましたでしょうか?