O.B.2(中村明日美子)
「なんで あやまるの そのコに 失礼じゃない」
「なにもかもは 無理でしょ」
「はー・・・大好き」
◆攻め:草壁光(ミュージシャン)/攻受不明・佐野響/攻受不明・青砥空乃
◆受け:佐条利人(京都の大学1年生)/攻受不明・有坂悟志/攻受不明・原学
◆エッチ:あり
◆属性など:<響と有坂>ヘタレ受け
◆評価:★★★★★
【あらすじ】
『同級生』『卒業生』の草壁と佐条、『空と原』のハラセンとソラノ、その他、 コマっちゃんや有坂&響など、〈同級生シリーズ〉を彩る魅力的なキャラたちの“その後”を描いた待望の続編『O.B.』が、2冊同時発売で堂々の完結!!
【感想】
『O.B.1』と同時発売の『O.B.2』。大人気『同級生』シリーズの完結巻です。
こちらの表紙もオールスター大集合です。1でも2でも、草壁と佐条の距離感がたまらないですね^^
「#4後編<響と有坂>」
『O.B.1』では「#4前編<有坂と響>」となっていましたが、今回は<響と有坂>になっています。
前編は話表紙も有坂で、どちらかというと有坂視点で過去も現在も語られていますが、後編は話表紙も響で、どちらかというと響視点で語られています。
そしてこの回も同じく、上記ふたりの現在と過去が交互に織り交ぜて話が進んでいきます。
カフェで娘・みずきと会う有坂。有坂の現在の話になり、響を呼び寄せる有坂。娘に真実を告げます。
「ごめん・・・」と娘に謝る有坂。ここでのみずきの一言が素晴らしい。
「なんで あやまるの そのコに 失礼じゃない」
でもこれはきっと、自分(みずき)にも失礼、という思いが込められてるんじゃないかな。
同性が好きという理由で奥様と別れた有坂。その理由である同性(響)について謝るということは、女性との間で生まれてきた自分(みずき)を否定されているように感じたんじゃないかな。
カフェを飛び出すみずき。後を追ってそれでもなお謝る有坂。最後に「ありがとう・・・」と伝える有坂。これはたぶん「生まれてきてくれてありがとう」。
それを見守る響。
家に帰ってきて電話で話す有坂と元奥様。それを聞いていた響は、復縁したいか尋ねます。
「俺といると いろいろ あきらめる ことになる 気が して」
有坂「僕の しあわせは 君だ」
高校卒業間近、プリンを作って有坂の元へ行った響。
「会えなく なるんですか」「もう 会えないん ですか」「俺 もっと」
響「ずっと 一緒に」
想いが重なるふたり。そしてーーー。
ようやく、本当の意味でのハッピーリスタートって感じですかね^^
危なっかしいふたりだけど、響の方がしっかりしているので大丈夫かな。
「#4.5<草壁と佐条>」
2日目の夜。こたつでイチャついていたその日の夜です。お布団でエッチ後のふたり。
寝落ちしていた佐条が目覚めて開口一番「寝た?(寝ちゃった?)」と慌ててるのに愛を感じます。
それを察して「ちゃんと 終わってから 寝たよ」と答える草壁にも愛を感じます^^
草壁「水飲む?」
佐条「・・・ありがとう」
草壁「イイエー」
このちょっとした会話にも愛が感じられますよね?こんな感じでもう全てに愛情がダダもれてるのよねー。
明日帰ることを背中文字で伝える草壁。口ではツラくて言えなかったんだろうね(T_T)
ちなみに、この時、『同級生』の中で原視点で語られた高校入学式で草壁が見せた「ヨーダの顔」をして見せるのが、『同級生』シリーズファンの萌えポイントかと^^
瞬時に涙を滲ます佐条。あー切ない(T_T)
胡麻化すためにトイレに行くという佐条。それに気付いて後を追う草壁。
草壁「泣いてる?」
佐条「女子供じゃ ないんだから」
浴衣姿で戦前の日本男児のような言い方(←笑)で強がる佐条。そんな佐条に「好きだ」と囁く草壁。優しい(*T^T*)
草壁「泣いて ないの?」
佐条「泣いて ない・・・」
ここでなおも訊いてくる感じもあまあまでいいですよねー。
優しくチューをしていたかと思ったら、いきなりワルツのようなダンスを踊り出す草壁。おかしくて笑いだしつつもそんな時間を愛おしむふたり。。。
遠距離恋愛である以上ついて回る離れる淋しさをいかにやり過ごしているか、せつな甘いストーリーの中でふたりの強さが見られるエピソードです。
「#5<空乃とフジノ>」
20歳になっている空乃とフジノ。つまり<草壁と佐条><響と有坂>よりも数年未来に進んでるお話。
空乃はモデルとして駆け出し中といったところ。フジノは営業です。
久しぶりに会って昔を懐かしむ、少し切ないストーリーなんだけど、今は昔話として微笑むことのできる空乃。だって空乃にはもう原がいるからね♪
フジノと会ったその直後、待ち合わせしていた原と逢ったら、髪の毛切ってて「やばい!!」と大興奮^^
「#6<原と空乃>」
で、ホテルにいるふたり。ヘタレな原は「生徒」「未成年」を理由にエッチを拒み続け、今度はポジション争い(笑) そりゃソラノもキレるよ^^;
ホントこのふたりの漫才みたいなやり取り好きだわー。
原の「(穴について)正しい使い方しかしてねーわ!!」がヾ(≧▽≦)ノ
と思ったら今度はシリアスモードで、親へのカミングアウトのお話へ。
母親は他界しており、真実を伝えられなかったことを悔いる原は、年老いた父親へのカミングアウトを決意します。
対して、悩みの片棒をかつがせるようで嫌だと反対するソラノ。
ラスト、駅ビルの中、人目もはばからず、「・・・お前がいて よかったよ」「お前が」「いてくれて」とソラノを抱きしめる原。
なんというか、すごく原にぴったりな、せつなくて、苦いけど、あまい。そんなラストシーン。
素敵です。
「#7<光と利人>」
おおとりです。サブタイトルをご覧下さいよ!<草壁と佐条>ではないのですよ!名前呼びですよ!これだけで期待大ですよね(*゚∀゚*)
3日目の朝。包丁の音ではないけど、朝食の準備、コーヒーメーカーの音が響く中、佐条が草壁を起こします。
もうね、ここから愛情ダダもれですよ。実は起きてたけど佐条に起こされるのを待ってた草壁とか、おはようのチューを1度は拒みつつも後ろから首筋にチューする佐条とか( *´艸`*)
土間でじゃれる草壁もいいですねー。
「一緒に住んだら 俺 バターがいいな」
バターとマーガリン。何気ない会話の中にも、約束した結婚への希望が滲み出てていいですね^^
とそこへ、あの白目・谷のデキ婚報告が!いいパパになりそー♪
子ども、、、佐条の仄暗い気持ちを汲み取る草壁。
ここからの草壁のセリフがとても素敵で、ある意味2度目のプロポーズですね。
「なにもかもは 無理でしょ」「佐条は 欲張りだなあ」
「幸せになる 自信あるし」「幸せにする 自信 も あるよ」
そんな草壁に対し、佐条も
「20歳に なったら」「結婚してください」
「僕からも 言いたくなっちゃったから 言っちゃった」
草壁「はー・・・大好き」
佐条「僕も」
私もだよーって言いたくなります^^; いや言いました(笑)
この「大好き」が溢れてる感じがいいですね。
「愛してる」でも違くて、もっとピュアな感じ。
そして、ラスト。
京都に来てからずっと何かを言いかけていた草壁。
「今度から 下の名前で 呼んでいい?」「そのうち おんなじ名字に なるわけだ し」
言い逃げしようとする草壁(笑) 呼び止める佐条。
「光」「き 気をつけて」
「り・・・利人も」
ここ、すごく重要なシーンだと思うんです。
単に名前呼びすることだけじゃなく、それが「佐条から」ということ。
今まで何か事が大きく動く時って、全て草壁からによるものだったんですよね。
それが言い出したのは草壁からだったとしても、実際に行動に移したのが佐条というのが、すごく重要だと思うんです。
大人になったね、佐条(*T▽T*)
青空には「同級生」だった頃のふたりが映し出されています。
これまた映画のようなラストシーン。。。
そして、これだけでは終わりません。
この後に続く、作者・中村明日美子先生のあとがき含めてのラストシーンだと思います。
ちなみに、各話ごとのページ裏余白に描かれている絵にもすごく意味が込められていて、それらも含めての作品だと思います。
とてもすがすがしい気分になる作品、大満足の★5つです。
参考になりましたでしょうか?