スロースターター(市川けい)
「どっち・・・?」
◆攻め:攻受不明/キヨ(野球部員の高校3年生)
◆受け:攻受不明/イノ(男子校の高校3年生)
◆エッチ:なし
◆属性など:ヘタレ攻め、ヘタレ受け
◆評価:★★★★★
【あらすじ】
引っ越して電車通学になったキヨ。途中から乗車してくる他校の学生・イノ。毎日必ず同じ時間に顔を合わす2人は、お互い、いつの間にか意識するようになっていた。ある日、寝過ごしているキヨを起こしてあげたイノ。それ以来、少しずつ言葉を交わすようになり仲良くなる。不思議な距離感に喜びと、初めての感情に戸惑いを感じるようになる2人。新星!せつなさ最強の市川けい初オリジナルコミックス。卒業後のキヨとイノ、描き下ろしもそのまま収録!
【同時収録作品】
・ハスキーボイス
・スロースタート(描き下ろし)
【感想】
市川けい先生の初オリジナルコミックス。「もだもだ」なふたりを描かせたらこの人が最強なのでは?と思わせてくれる先生です。しかもその「もだもだ」が、ラブラブバカップル大好きな私でも許せてしまえる「もだもだ」だからすごい。
とかいって、実は市川先生を知ったのは、『ブライトライトスプラウト』の試し読みで。
試し読みまでは良かったのだけど、口コミで調べてみたらまぁ私の地雷でして^^;
でもその最初の感じが好きで、地雷じゃない市川先生の作品を読みたいと思い、探し出した作品。ちなみに私の市川けい先生初読み作品は『こっち向いて笑って』。
ここからしばらく市川先生の作品を紹介していきます。
まず表紙がいいですね。私、男性の胸からお腹にかけての猫背のラインが大好きでして^^; 左側、イノのラインがいい感じです(笑)
ちなみに、エッチシーンがないので攻受は不明ですが、おそらく上記の通りかと。
同時収録作品はタイトルは違えど全て同じカップルのお話です。最初は読み切りから始まったそうです。続いて良かった^^
なんというか、すごく素敵な空気感というか、ピュアな二人のお話です。なのですごくゆっくりと、タイトル通りゆっくりと物語は進んでいきますが、それがあまりにも自然で、読んでてイライラすることはありません。しかも、ふたりともピュアで素直だから拗れたりするようなすれ違いみたいなこともほぼありません。ザ・平和(笑) それがいいんだろうなー。
とにかく最初は電車の中の、全くの他人なふたりが描かれています。そこからじんわーりと気になっていく様子が描かれています。じんわーり。
そんなふたりが会話するようになるのは、キヨが寝過ごしてイノが起こしたことから。
そこから朝電車で話すようになるふたり。約束してるわけではないけど、一緒の電車に乗って通学するのが日課。
そんな時、キヨに野球部の朝練が入ってしばらく同じ電車に乗れなくなります。
ひさしぶりに同じ電車で通学する日、キヨのモノローグが細かく描かれていますが、これが市川節なんだなー。市川先生の描く細かいモノローグ、面白いです。
同じようにいろいろ考えていたイノ。連絡先の交換をするふたり。
ふたりの心の動くタイミングが同じなんだろーなー。すごく自然です。
そして、このあたりでほんのりラブエッセンスが見えてきます。あくまでもほんのり。
キヨの文化祭でふたりの関係に変化が訪れます。
ふたりの友人たちもいいキャラしています。市川先生の作品に出てくる友人たちはみんないいキャラしてますね。
自分の中の恋心に気付くふたり。それを打ち明け合うシーンが最高です。ザ・もだもだ(笑)
ベロを出してお道化て見せるイノが可愛い♪
文化祭からの数日を4話かけて描かれていますが、ゆっくりながらも全くイライラしない不思議。ふたりの心の変化の描かれ方が丁寧なんだろうなー。それでいてたるんだ印象も受けないし。
描き下ろしは、高校卒業後のキヨの引っ越しのお話。イノに合鍵を渡すキヨ。
エッチシーンに突入か?攻め受けどっち?どっちでもいいんだけどーなんてイノが考えている途中で、酔っ払いキヨは撃沈です。おぅここでも、もだもだ!
本編が進むにつれ、絵も安定して上手くなっていくのが分かる1冊。
次はこの続編『スロウデイズ』をご紹介します。
参考になりましたでしょうか?