おはようとおやすみとそのあとに【電子特典付き】(波真田かもめ)
「これから ひとつひとつの 選択が おれの人生を つくってくんだ」
◆攻め:立花開人(21歳/シェフ見習い)
◆受け:片岡伊介(19歳/デジタルアート専攻の大学生)
◆エッチ:あり
◆属性など:ほのぼの日常
◆評価:★★★★★
【あらすじ】
ある日、店先の求人広告を見つめる“美少女”に一目惚れした見習いシェフの開人。しかし、その“美少女”は口が悪く愛想なしの“男”、片岡伊介だった。
事あるごとにぶつかりながらも、なぜか世話を焼いてしまう開人。しかも、不摂生な伊介を見かねたオーナーの命令で同居する事になり――…。
オカン系男子×口の悪いマイペース美人。不器用ケンカップルの春夏秋冬。
【同時収録作品】
・dolce(描き下ろし)
【感想】
クロネコ彼氏シリーズ、酷くしないでシリーズと合わせ、私の中での三強。
波間田かもめ先生の『おはようとおやすみとそのあとに』。
クロネコ彼氏シリーズも、酷くしないでシリーズも大好きなのですが、
物語の展開の起伏が激しくて、別れの危機などもあったりします。
対して、今作は根底に流れる空気が穏やか!
もちろん盛り上がりはあるんだけど、落ちついてるんだよなー。安定したカップル。
なので、現実的な意味で理想的なカップル。
私とお付き合いする方には読ませて「こんなカップルになりたい!」と熱弁をふるいたいくらいです^^;
購入のきっかけは、「ハンディコミック」で、掲載雑誌 『COMICフルール』の無料試し読みが何冊かあり、その中で最初はケンカばかりしていたのに、次読んだ回では穏やかな素敵なカップルになってる!と驚いたから。
この時すでに漂う穏やかな空気感が気になって、意を決して購入。
買って正解でした^^
シリーズ通して表紙も素敵!美しい!
大好きな作品です。
季節は春。
開人が働くレストランを舞台にした物語で、出逢った当初はケンカばかりのふたり。
なんだけど、ふたりとも夢があり、その夢に真っ直ぐ突き進んでいる共通点から、徐々に仲良くというか、互いを認めていきます。
元々伊介を女の子と間違えて採用した開人は、伊介のことを意識するように。
そして転機が訪れる夏。
オーナー高千穂薫の提案で、開人の家で一緒に暮らすことになったふたり。
無防備な伊介に欲情しないように自分と戦う開人だけど、誤解した伊介が家を出ると言い出したことを機に、ふたりの関係は変化します。
この頃から伊介の「むー」が出てきますが可愛いですねー。伊介の「むー」^^
そして、もうこの頃には穏やかで可愛らしいふたりの空気が出来上がっています。
くすぐりっこ、和むわー。
季節は深まって秋。
父親のケガの連絡を機に、山形の実家に帰省した伊介。人生について考える伊介。
「これから ひとつひとつの 選択が おれの人生を つくってくんだ」
開人との関係にも覚悟を決める伊介。エッチするしないとかではなく、人生の一部としてというか、人生そのものとして覚悟する感じが、まじめな伊介らしくて、まじめなふたりらしくて、とても好きなシーンです。
そして怒涛の冬。
ふたりとも忙しかった期間(クリスマス時期)を抜けて、ようやく迎えた休日。
大掃除をするんだけど、このちょっとしたコマにもふたりの生活が垣間見えてきゅんとします。
ふだんはシェフ見習いの開人が料理してるんだけど、この日は伊介が料理します。
「だってずっと 二人で 暮らすんでしょ?」
寝るのかな、と思わせた後のラストもいいですねー。
描き下ろしの「dolce」は、女の子に間違われることが多い伊介に言ってはいけない三大ワードのお話。
動物園にかわうそを見に行くふたり。以降、かわうそはふたりの中で特別な動物になります。
かわうそにドはまりする伊介。NGワード「かわいい」を連発する開人。
あー、可愛いふたり♡
ふたりの春夏秋冬を1話1話通してきれいに描かれ、回を追うごとに確実に着実にふたりの関係が変化、成長していきます。
物語は開人視点だったり、伊介視点だったり、話によって入れ替わりますが、あまりに自然で最初は気付きませんでした。
絵のテイストも不思議。美しくもあり、雑なようでもあり。
生活感があって、キャラがどこかで生きているよう。
そう、一生懸命生きてるんだよなー。
このふたりを見ていると、私も頑張らなきゃ!と考えさせられます。
ただただ甘いラブに重きを置いた話じゃないんですよね。あーいい(>▽<)!
多くの人に読んでほしい作品です。
参考になりましたでしょうか?